2020.08.09
ビンテージって何?古着初心者にもわかりやすく解説
古着に興味を持つ人が多い今だからこそ、ビンテージの世界までのぞいてみよう。突き詰めればマニアックな世界だけど、入り口はじつは優しい。わりと買いやすい値段のものもあったりする。どこよりもわかりやすく解説するので、古着通になるためにも、ぜひここで学んでおこう!
【目次】
ビンテージとは?
ビンテージの魅力
手に届く価格のビンテージ
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そもそも、ビンテージって?
ビンテージと聞いて具体的に説明できる人は少ないと思う。そこで、古着界の重鎮、ベルベルジンのディレクター藤原 裕さんに話を聞いた。
Q古着初心者ですが、ビンテージって何ですか?
「金額で分かれるのか何なのか。教科書に書けるような明確な線引きはありません。昔でいえば2万円のTシャツって売れませんでしたが、今では写真家ブルース・ウェーバーのフォトTが約80万円で買われる時代になりました。’80年代以降とかそれほど古くないものなのに。でも、売れた実績があるとそれが基準になっていく。そうしてビンテージデニムのように相場ができ、相対的な古着のカテゴリーになっていく。このように売り買いの市場が熟成していくのがビンテージなのかもしれません」
Qたまに聞く〝ネオ″ビンテージとは?
「安いと思いがちな’90sのことなのでしょうか。しかしこの年代は市場が極端にバラけています。ブラピ主演の映画『セブン』の映画Tが約5万円で取引される時代ですから、我々は正直その定義は不明です。しかし今、LAやNYの子たちはビンテージを知らず自身の感覚で古着を売り、流行に繋げています。日本でもセレクト店のようなお店が増えていますが、それでも価値を理解する子は多い。シュプリームクルーが来日し続けるのも理解できます。総じて、若者の動向は今、興味深いものです」
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ビンテージを知ると古着はもっと楽しくなる
当時ならではのデザインや、どんな人のために作られた服なのかなど、洋服の背景を知ることは古着の楽しみでもある。ビンテージにはそんな過去のストーリーが詰まっていて、店員に聞けばたくさんのことを教えてくれる。いつしか「これ珍しいかも!?」って自分でも思えるようになるとお店めぐりもワクワクする!
これ、ビンテージと呼ばれる約23万円のG ジャン!
通称セカンドと呼ばれる507XX。ファーストから’50年代前半にモデルチェンジされた当時のもの。色も濃く残り状態もいい。高額だと思うかもしれないけど、現在Gジャンは高騰しており、価値を考えればこの値段はリーズナブル。古着のジャケット22万8000円(ベルベルジン)
値段が高い理由は状態の良さと希少性
・胸元のステッチ
ボタンの右上、デニムの重なり部分を当時は固くて縦に一直線で縫えなかった。そのため縫い目はヨークに沿ってわざわざターンされた
・ビッグE
僕らが古着店でよく見るのは’73年頃にスモールe表記に変更されたそれ以降のもの。この通称ビッグEはわかりやすく古着好きの憧れ!
・裾のステッチ
ウエストバンド部の裏側。上がチェーンステッチで下がシングルステッチ。両方がチェーンステッチのものよりも希少性が高くなるという
・状態のよさ
デニムでは青の濃さ(風合い)が値段に大きく影響をあたえる。たとえば、年代が古いAとその次に古いBがあったとして、インディゴの濃さでBが高額になることもよくある
当時の織り機やミシンによる〝ならでは〞の縫製や顔つきが男心をくすぐる。現存する機械は滅多になく、高性能となった今ではコストが見合わず生産もされない。だからこそ、〝年代の証明〞となり、古い=価値が上がる。
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じつは僕らでも手の届く価格のビンテージもある!
ハイブランドや気鋭のデザイナーがビンテージをサンプリングする今。SNS の浸透はそんなサンプリングがすぐネタバレすることでもある。そう考えるとビンテージは昔より身近にあるし、聞くと値段も高くない。そこでまずは知識を深めよう。カテゴリーごとにビンテージの線引きは異なるので具体的に解説! ココも引き続きベルベルジンのディレクター藤原 裕さんに話を聞いた。
ビンテージの王道1
スウェット(9800円)
じつは1万円以下でビンテージデビューできる
「たとえばチャンピオンですと、100%コットンで作られていた’60年代のものまでがビンテージと呼ばれています。日焼けや洗濯などによる色あせ(フェード感)がアジになるんですよね。ちなみに、チャンピオン独自の製法であるリバースウィーブはスウェットと似て非なるもので、’70sの単色タグまでがそれに該当します。ただし例外はあり、’90sのリバースウィーブでも〝NAVY〞などミリタリーロゴが入っていると価格は高くなります」チャンピオンの’60年代のもの。フェード感はアジにもなるし、じつはプライスとしては下がるので、僕らには一石二鳥! 古着のスウェット9800円(ベルベルジン)
このディテールをチェック!
リブの長さ
例外もあるが、ニットを含め、昔のモノはリブが長い。’60年代以降、このリブは短くなる
ビンテージの王道2
ミリタリーパンツ(5800円)
ベトナム戦争までの軍パンがビンテージとして考えられる
「これまた線引きが難しいですが、'75年に終戦したベトナム戦争までのものはビンテージとしてくくってもいいかな。このジャングルファティーグパンツとかいいですよ。M-65パンツの前身のようなもので。迷彩は流行りにより価格の変動が大きいです。アメリカではタイガーカモが今大人気。その値上がりに僕も追いつけていませんでした(笑)。迷彩は数年おきに流行ります。日本では人気が落ち着いている今、じつは買いどきなんですよ」’60年代のもの。状態がいいと1万円前後だとか。見た目では気にならないが、ヒザにリペアがあり、リサイズされているのでこの価格。古着のパンツ5800円(ベルベルジン)
このディテールもチェック!
緑の多さ(グリーンリーフ)
緑が多いとグリーンリーフ、茶色が多いとブラウンリーフと呼ぶ。同じ迷彩でも前者が人気
ビンテージの王道3
ミリタリージャケット(7800円)
フライトジャケットが有名だけど薄手のジャケットは手頃でオススメ!
「この時季ならファティーグジャケットがオススメかな。突き詰めれば、ファースト、セカンド、サードと仕様変更があるのですが、大きくはノンリップとリップストップという生地の違いを覚えておくだけでまずはいいでしょう。リップストップとは生地が裂けてもダメージが広がらないよう、ナイロン繊維を格子状に編み込んだものです。ビンテージという観点ならノンリップのほうが品数が少なく希少です」’69年製のセカンドもの。状態がいいと約1万9800円とのことだが、衿に多少のダメージがありこの安さ! 僕らにはカッコいいエイジング。古着のジャケット7800円(ベルベルジン)
このディテールもチェック!
格子の有無
これは通称ノンリップ(格子なし)。リップストップになると薄く細かい格子が入る
ビンテージの王道4
リーバイス501 (3万9800円)
デニムは育てるのが楽しい!多少高くても一生ものになる
「約140年もの間に501は多くの仕様変更がありました。ビンテージは通称〝赤ミミ〞と呼ぶ’83~’86年頃に生産されたタイプまでです。(生地裏のサイドに赤ラインが入った最後のモデル) ただ、ビンテージデニムの魅力は色落ちであり、インディゴの美しい縦落ちが楽しめるのは、’73~’78年の66前期モデルまで。私的にはこの前期までがオススメ。まだ2万円台で買えますし。ちなみに赤ミミだと9800円くらいからです」’67~’70年頃に生産された通称〝ビッグE〞モデル。66前期の一つ前の(古い)タイプ。多少高くなっても色の濃いほうがオススメだそう。古着のパンツ3万9800円(ベルベルジン)
このディテールもチェック!
赤タブ&赤ミミ
ヒップに付いた赤タブ。〝ビッグE〞モデルまでがLEVI’S表記。〝66前期〞〝赤ミミ〞はスモールe。これがあるとサイドの色落ちが変わる。デニム生地が変わったため、このディテールは消滅
これがビンテージの基礎知識。意外にもチャレンジしやすい価格帯のアイテムもあるから、古着店に足を運んだ際はチェックしてみて。唯一無二のビンテージアイテムは確実に周囲と差をつけられるぞ!