2024.05.15
20代のうちに自分のブランドを作る方法
服好きを極めてオリジナルブランドをオープンするインフルエンサーが数人いる。俺も服が大好きだけど、自分のブランドを持てる可能性ってあるのかな? もしできるなら挑戦してみたい! そこで20代ですでに"夢"をつかんだ若手ディレクター2人の話を聞いてみよう。
やりたいことに挑戦するっていうのはカッコいいし、できるならもちろんそうしたい。けど現実問題、安定とか、生活とか、親の意見とか…。気にすることがたくさんある。そこでこの2人はどうしてたんだろう?
★低身長男子の味方・ADAMASTE(アダマスト) ディレクター
ゆーすけ(@y__suke24)さん
★アウトドア風シティコーデを提案WETTEMPT(ウィテンプト)ディレクター
おさゆう(@osayu912abc)さん
一度はファッションと無縁の業界へ就職
■冒険する勇気が出ないのは当然
おさ「就職活動をしていたときは、やりたいことがとくに思いつかなかったんです」
ゆー「僕はアパレルの運営をやりたかったけど、当時は店舗での接客からスタートの会社が多くて。それが苦手で、一度諦めてしまいました」
おさ「やりたいことには挑戦したほうがいいとは思うけど、現実問題、周りを差し置いて自分だけ冒険するようなことはしにくいですよね」
ゆー「確かに。学校を卒業する時点で確実な道が見えているなら別ですけど。だから念のため安全な道を用意しておきつつも、やりたいことに挑戦するっていう方法が賢いのかも。それで僕も一度は一般企業へ就職したわけですし」
おさ「僕らも〝絶対に自分のブランドを作るぞ〞と初めから意気込んでいたわけではないですね。SNSをやっていく中で少しずつ今の仕事に近づいて来た感じだから」
ゆー「自分がディレクターになることを意識したのも、動き始める1年くらい前です」
おさ「僕もこの仕事を意識したのは、ほんの数年前です」
■最初からフォロワーが何万人もいる人はいない
おさ「僕がSNSの活動を始めたのは高校生のとき。買った服をインスタで紹介してましたね」
ゆー「じつは僕、当時その投稿をよく見てました!」
おさ「ありがとうございます(笑)。でも最初はなかなか見てもらえませんでしたよ」
ゆー「僕も大学を卒業するときは、友達を含めてフォロワー500人とか。だから自分1人で何かしようとも思えなかったんですよね。でもよく見ていたインフルエンサーが、おしゃれになりたいならとにかく自分を発信しようと言っていて。僕もそれを聞いて、服の投稿を始めました」
おさ「投稿を続けていれば、フォロワーが一気に増えるタイミングが唐突にやってくる可能性もありますもんね」
■欲しいものがないなら自分で作るのも一つの手
ゆー「僕は身長が165㎝で、低いほうだと思うんですけど。僕みたいな人にとって日本のメンズブランドって、Sサイズでも少し大きかったりするんですよね。せっかく気に入ったデザインのものがあってもスタイルが悪く見えてしまうから諦めることもよくあって」
おさ「欲しいものがないという点で言うと、僕はアウトドア系の服がすごく好きだったんですけど、それを街で着ているとちょっと浮いてしまうみたいなことを感じてました。こういう系統でシティコーデとしても使えるものがあればいいのに、と思っていたので、自分のブランドをやるとなった段階でそれをコンセプトに取り入れましたね」
ゆー「自分の夢や理想を世間のニーズに落とし込むのが難しいけど大事なことですよね」
■ブランドディレクターって何してる人?
ゆー「僕の場合は少し長めの事業計画として、どの時期にどういうアイテムを出そうというプランを立てることからですね」
おさ「僕はその点、短い期間に分けてその都度アイデア出しを繰り返していく感じです。大体発売の2カ月前からそのアイテムについて動き始めますかね」
ゆー「けっこう違うんですね。企画を出したら使う生地を決めたり、カラーの選定をする、というのもおさゆう君がやっていますか?」
おさ「はい、そこは同じですね。商談にも参加するし、SNS告知のための撮影をディレクションしたりもしています」
ゆー「企画とPRということですね。あとは着ないと分からないことも多いので、サンプルを自分で着てみて、修正を出したり。そういう細かい作業のくり返しが大変なところでもあり、服作りにおいてやりがいを感じるところでもあるんですよね」
■私生活でも服には敏感?
ゆー「普段だったら服を選ぶ時間は3分くらいです。デートだったら別ですけど」
おさ「僕も5分とかですね。自分のブランドの服を着ることが一番多いかもです」
ゆー「僕もです。自分のブランドでスウェットを出してるから、寝るときもそれを着てます。あと家では〝ポンコツ〞って書いてあるTシャツをよく着てますね(笑)」
おさ「ちょっと外に出るだけでも、服装は気にしちゃう。休日に出かけるときも、服の店に目がいきますか?」
ゆー「しますね。ただ自分の服を買いに行ったつもりなのに参考になりそうなアイテムを探して仕事目線になったり。その逆も然りです」
おさ「その気持ち、わかります。でも仮に女のコと出かけて、服の意見を求められるとそれどころじゃなくなりますよね」
ゆー「そういうときは相手の中で答えが決まってるのかな、とも思うので、ゆるっと意見を伝えるようにしています(笑)」
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せっかくだから、いろんな“ハテナ”をぶつけてみる
1年後に自分のブランドを持つには?
2人の話を聞いていたら、俺も挑戦してみたいって気持ちが膨らんできた。簡単じゃないことはわかっているけど、いつかとは言わずに動き始めたい! 明日から始動する俺らに、もう少しだけ、ヒントをください!
Q まず明日できることは?
おさ「まずは自分がやりやすいSNSを使って、好きなことをしてみる!とにかく発信することが大事。頭で考えることも必要だけど、一番大切なのは行動。僕もまずは、今の仕事が決まる前に、意を決して前の職場を辞めることから始めました!」
ゆう「投稿はこだわり始めたらキリがないけど、とにかく発信する!準備した写真や動画を見返して、編集するのもいいと思う。けど、ある程度で見切りをつけて! こだわりが強すぎると、どんどん投稿できなくなって、元も子もなくなっちゃう。」
Q 仕事がイヤになることはある?
おさ「ほとんどないです。9:1で"楽しい"が勝ってる。1年間のアシスタント期間を経て今自分のブランドをやれてるってことがすごく幸せです。もちろん大変な作業もあるけど、それ以上に楽しいことが多いので、イヤにならないです。」
ゆう「イヤになることはほとんどありません。好きなことが仕事になった途端に好きじゃなくなる、という可能性は誰にでもあると思うけど、今の僕にはないですね。ブランドが始まって約3年、楽しくやれています。」
Q 上京すべき?
おさ「ブランドをやりたいと思うなら、必要なことかもしれない。SNSでの発信はもちろんどこにいてもできるけど、それが仕事になってくると打ち合わせや撮影や展示会など、東京での行動が軸になってくるから、上京したほうがスムーズかも。」
ゆう「トレンドが生まれる場所で刺激を受けるのはいいこと。新商品を考えるとき、いつも頭を抱えるのが〝次は何が流行るだろう〞ということ。そんなとき、すぐに流行の中心である街に行って、散策ができるのは東京のいいところですね。」
Q フォロワーってどうしたら増える?
おさ「とにかく発信を続けて、タイミングを待つ!フォロワー数って、地道に少しずつ上がっていくというより、何かのきっかけでドーンと上がることがあるんです。それがいつかは正直わからないので、とにかく継続が大事かと。」
ゆう「たくさんの人が興味のあることをリサーチする。洋服の場合、多くの人が利用しているブランドのアイテムを使ってコーデを組んでみたり、テーマに合わせておすすめ品を紹介してみたときは、すごく反応がよかった気がします。」
Q SNSで叩かれたりしない?
おさ「それもきっかけだと思えるマインドが必要。日頃からきちんとリサーチをして、正しい情報を伝えるようにしていますが、批判的なコメントもたまに。でもそれは見てくれているということなので、前向きに捉えたいですね。」
ゆう「批判的なコメントからフォロワーが増えたことがある。以前あるコーデを投稿したときに、結構な批判をくらったことがあって。あぁ、コレはだめなのね、と思っていたけどその投稿の後にフォロワーが増えていたのも事実です。」
Q 前の仕事を辞めるとき、親はなんて言ってた?
おさ「『行ってらっしゃい』と、一言だけ。やりたいことを応援してくれる家族なので、前職を辞めたときも、上京するときも、背中を押してくれました。でも、自分の意志をしっかり伝えることは大事だと思います。
ゆう「とくに反対はなく、自由にさせてくれた。自分のやりたいことをやらせてもらっていたので、前職を辞めるときも、何も言われなかった気がします。だからこそ、その先の行動は自己責任なんだろうな、と思います。」
●撮影/ MISUMI 撮影協力/品川区立五反田文化センター