2025.12.01
ウチの大学のスゴい人。〜僕がココにいる理由〜東京農業大学の西川晃生くん
今回紹介するウチの大学のスゴい人は、東京農業大学、国際農業開発学専攻修士1年・熱帯作物学研究室の西川晃生くん。西川くんは、汗も理想も、すべてが研究の肥やしになる! 宮古島から希望を耕す人。そんな西川くんに、大学のことや将来のことを聞いてみた。

太陽とともに生活する中で農業の未来を模索する日々
── 東京農業大学は世田谷区にあるのに、ほとんど宮古島の研究室にいるの?
「はい、熱帯作物学研究室に所属しているためです。僕がいる研究室では、ヤムイモやトウモロコシなど、熱帯地域に住まわれている方々が主食としている食物を、持続的に生産し続けるための方法を研究しています」
── 具体的にはどんな研究を?
「単に効率を上げるだけなら化学肥料を使うのがもっとも簡単です。でも、それでは土壌に悪影響を及ぼしてしまいます。なので、自然由来の有機農業で、どうすれば、より効率的かつ効果的な栽培ができるのかを研究しています」
── 研究ってことは、毎日白衣を着てビーカーで実験する感じ?
「いいえ(笑)。毎日、農作業着を着て畑に出ています。科学的に分析も行いますが、現場と両輪で研究を進めています」
── じゃあ、まるで農家のような日々?
「まさに(笑)。宮古島の研究室には僕を含めて大学院生が2人、4年生が2人、あと特別入試を目指す研修中の練習生が3人います。僕たちが寝泊まりしている建物にはカーテンがありません。だから文字どおり、嫌でも日の出とともに全員起床って感じです。周りにはホントに何もなくて。コンビニなんかは、自転車を45分必死で漕いだところにある感じです(笑)」

── そんな環境にどれぐらいいるの?
「自然相手だと、ラボ内で理論的に出た答えと実際に栽培して出た答えが、必ずしも一致するとは限りません。昨年はほぼ365日、ほとんどいました。来年はこれまで4回研究対象地として訪れたガーナに、半年ほど拠点を移して研究に励むつもりです」
── 行動派だね。ところで、自然由来の農業は今注目されている分野だよね?
「そうですね。環境に負荷をかけず生産性を高めることができれば、まさに持続可能な農業ということになります。その点において東京農業大学は世界をリードしている大学だと思います。たとえば、熱帯作物学研究室はヤムイモ研究において世界トップと評されていますから。だから研究費は大学からだけでなく、国や民間企業からも助成をいただいています」
── 研究していて、一番楽しいことは?
「なんだろう。でも、種を蒔いて発芽したときは毎回うれしいですね。命が育つ過程を実感することは、とても刺激になります。もちろん毎回うまくいくわけじゃないので忍耐力も必要になりますけど」
── 興味を持ったきっかけは?
「海外では、今も幼くして命を落とすことが珍しくない国や地域があります。高校生のとき、親しい友人が病死したことで、若い命が自由に輝けないことに憤りを覚えました。あの日から、自分にできることを模索し、この道に辿り着きました」
── 今後の進路はどう考えてるの?
「企業に就職するというよりも研究を続けていきたいです。なので、国際研究機関に入ることができればうれしいですね。できればアフリカを拠点に農業生産向上に貢献できればと考えています」
── 徹底して現場主義なんだね。それにしては、すっごいおしゃれだよね!
「東京にたまに帰ってきたら、友人たちに会う合間をぬって、けっこう洋服店めぐりもしています。とはいえ、気づいたら畑で作業着としても使えそうな、ポケットがたくさん付いたりしている機能的な服ばかり選んじゃってますけど(笑)。ファッションも大好きなんです」

◆東京農業大学◆
1891年に創設した日本初の私立農学校が前身の総合大学。現場で役立つ人材育成を目指し、食から生命科学まで幅広い分野で先進的な教育や研究を提供
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●文/安岡将文 撮影/瀬田秀行








































