2020.10.29
新卒入社半年でコロナ退職→UberしながらYouTuber、なぜ?
2020年度の新入社員の多くは、入社早々リモート業務や自宅待機を命じられただろう。徐々に出社できるようになった今も、コロナが仕事に与える影響はどんな業界でも少なくないはず。そんな中、入社後半年足らずで会社を退社し、YouTuberになった2人がいる。現在『精鋭のSayYeah』というチャンネル名で活動中のたまさんとルカさんだ。どのようにして会社を辞め、YouTuberとして活動するに至ったのかを2人に取材した。
左/精鋭のSayYeahのルカさん、右/たまさん
社会人デビュー後、即コロナ感染
たま「4年制大学を卒業し、今年の4月1日にIT系のベンチャーに入社しました。就活をしていたときから、『刺激が強そうな、今の時代の最先端のものに触れたい』という思いがあったので、とりあえずIT業界を志望していて。そのときは、YouTubeにいこうとは思わなかったです。『YouTubeやったらおもしろいだろうな~でも、まあ普通やらないよな』って感覚だったので」
ルカ「僕も4年制の大学から新卒採用で入社しました。でも、教員免許を持っているので、4年ぐらいで会社を辞めて体育教師になろうと思っていました。会社の同期は、全部で250人くらい。配属された事業部の同期は10人程度で、その1人が相方のたまでした」
入社はしたものの、2カ月間ほぼ出社せず
たま「コロナの感染拡大により、入社後1週間で出社するかリモートかを選ばなくちゃいけなくなりました。僕はリモートで働くことにしたので、そこから5月末まで2カ月近く出社することはほぼなかったですね」
ルカ「僕は出社を選んだんですけど……。 実はコロナにかかってしまいまして。3週間近く入院していたんです。その病院では僕が初のコロナ患者だったので、病院側もてんやわんやって感じでした。そんな中、もう1人コロナで入院してきて。『新入りが来た』と思ったら、僕の兄だったなんて奇跡もありました(笑)。なんやかんやで無事に退院はできたものの、結局僕も1カ月間はろくに出社できませんでした」
6月にようやく出社するも、仕事がない
たま「僕はリモートを選択したこともあって、6月に出社してからは特に『早く仕事を覚えなきゃ』っていう意識が強くありました。でも、ようやくちょっとずつ仕事に慣れてきたくらいでとても暇になってしまって……」
ルカ「僕らは営業部で、リストを参考に電話営業をかけていくスタイルでした。でもコロナの影響で、電話をかけられる相手先がかなり少なくなってしまったんです。まだ僕らの力量では難しい相手先ばかりで……。本来だと1日100件ぐらい営業をかけるはずなのに、たったの5件しかあたれない日もあったり、手持ち無沙汰な状態が続きました」
このまま会社にいるべきか悩みはじめた
たま「その時に、『これがずっと続くのきついな』って思いはじめたんですよね。このままこの会社でそれなりにやっていればお金はもらえるだろうけど、自分の心は満たされない。ちょっとリスクがあっても、自分がおもしろいことやった方が幸せを感じるんじゃないかって考えるようになりました。7月くらいから、その思いを昼休みにルカに話すようになって……」
ルカ「僕も、やる気はあるのに何もできないっていうそのときの状態が本当にしんどかったんです。かと言って、転職もどうなんだろうって感じていて。体育教師になるにしても、この時期はコロナで受け入れ先も少ないですし、そもそも今は普通に授業するのも難しい。もやもやした気持ちを抱えながら仕事を続けていたんですが、こいつに毎日のようにYouTuberになろうと勧誘されて(笑)。会社で働いているときは憂鬱そうなのに、YouTubeの話をするときは目をキラキラさせて、すごく楽しそうにしてるんですよ。今までずっと安定志向だった自分にとって”YouTube”はすごい挑戦でしたが、そんなたまを見て、『こいつに賭けてみよう』と思いました」
たま「僕も転職という考えはありませんでした。”半年で仕事を辞めた”っていう自分の市場価値を踏まえて考えたら転職は難しいし、ぼんやりと『どこの会社に行っても同じなんじゃないか』って感じていて。会社に勤めるよりも、自分だけで仕事を完結できるYouTuberの方が魅力的でした。勝算があったわけではないですが、僕らの周りにYouTubeを始めたっていう知り合いが何人かいたんですよ。中にはチャンネル登録者数35万人でYouTubeで生計を立てている子もいて。その友達は、僕らが出社できなかった4月~5月の間も『俺はもうずっとやりたいことやって、しかも在宅で稼いでるよ』って感じで。それに対して憧れというか……、『自分も挑戦してみたい』っていう気持ちが強くなったんです。そうして自分の中で”YouTubeをやる”と決めてからは、YouTubeの見方も変わって。”研究”じゃないですけど、『なんでこの人は人気なのかな』って考えながら見るようになりましたね。考えすぎて、通勤電車を乗り過ごしたこともありましたけど(笑)」
「YouTuberになるので会社を辞めます」
ルカ「人事との面談のタイミングで、7月ごろに辞意を伝えました。最初はYouTuberになることを隠して、『仕事に嫌気がさした』という理由でごまかしていました」
たま「ルカの面談のあとにすぐ僕も『辞めたい』と伝えて。僕はその時正直に『YouTuberになりたい』って言ったんです」
ルカ「そのあとに僕も『実はYouTuberになりたくて…』と伝えました(笑)。人事にはめちゃくちゃ止められましたね。『YouTubeをやりながらでも会社は続けられるんじゃない?もう少し残って、考えなおしてほしい』って」
たま「でも、会社にいながら副業っていう形だと、顔出しができないだとか色々な弊害があったんです。だから思い切って9月末に会社を辞めて、YouTube1本で戦ってみることにしました。ただ、人事には止められましたが、現場の先輩方にはそこまで止められなかったんですよ。『やりたいことやっていいと思うよ』とか『YouTuberになるから仕事辞めるって”時代”だね』くらいのリアクションでした」
ルカ「でも僕、親にはすぐに言えなくて……。僕は実家暮らしなんですが、2カ月近く、仕事を辞めたこともYouTuberになったことも隠し通していました。さすがに挙動がおかしかったと思いますが、我が家の生活スタイル的になんとかごまかせていて(笑)。でも、10月末頃に自分の部屋で動画の撮影をしているところをたまたま目撃されてしまったんです。そこで観念して、『俺、仕事辞めてYouTuberになった!』と初めて親に伝えました。とても悲しい顔をされましたが、特に何も言われませんでしたね。でも、その次の日が僕の誕生日で。いつも親からは特に何もされないんですけど、今年は急に3万円くれて(笑)。申し訳ないなと思いつつ、有難くいただきましたね(笑)」
たま「僕も親に報告したときは、悲しい顔をされました。でも、特にとがめられることもなかったです。今となっては、動画を上げるとすぐに父親が連絡をくれるくらい。『次はいつ動画アップするの?』とか聞いてくれたりもします(笑)。応援してくれているんだなって感じて、とても嬉しいですね」
今はバイトしながら、いつかはYouTubeだけで食べていけるように
たま「今はお互いバイトをしながら、YouTubeの活動をしている状態です。僕は塾講師をメインに、今流行りのUberEatsのバイトもしています」
ルカ「僕はライフセーバーの資格を持っているので、プールの責任者をしています。大学生の頃のアルバイト先にお互い出戻ってお世話になってる感じです」
たま「YouTubeの活動は、撮影はもちろん動画編集もお互い初心者なので何も知識がない状態からのスタートで……、日々試行錯誤しながらやっています。でも、大変っていうよりも楽しいっていう気持ちの方が勝っていますね」
ルカ「自分たちで企画を考えて、どんどんやりたいことができる。仕事がないのは自分たちに原因があるけど、その分うまくいったときも自分たちの力でできたっていうやりがいが強くあります。会社員時代の”やる気はあるけど暇で受け身になるしかない”っていう日常と比べると、今はとても充実しているなって感じますね」
2人「「今は始めたばかりでチャンネル登録者数が130人くらいですが、年内に1000人達成が今の目標です。会社を辞めてもう後が無い2人が色々な企画に挑戦している姿を見てもらえればと思ってます! 僕たち2人が今後どう変化していくのか、ぜひご注目ください! 」」
『精鋭のSayYeah』公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCWzQFkdWNm694EqSt59iOrQ
『精鋭のSayYeah』公式Instagram
instagram.com/seieino.hutari/
『精鋭のSayYeah』公式TikTok
tiktok.com/@seieino.hutari