2018.09.24
「10年後」も履きたい靴。 Vol.2スクロバ オーナー 今泉陽介さん
スニーカーのムーブメントが刻々と変化する中で、この先のシーンはどうなっていくのだろうか。新作のリリースラッシュが絶え間なく続く今だからこそ、一つのタームとして10年後を想像してみたい。そんなシーンの未来像について、スニーカー界の重鎮たちが展望を各々に語ってくれた。珠玉の私物スニーカーも踏まえた内容は必見!
たかがヴァンズされどヴァンズ、 2/2PAGE
でもハマったら抜け出せない
スクロバ(SKROVA)オーナー
今泉陽介さん
Profile/原宿の古着ショップで経験を積み、17年に念願であった自身のショップを高円寺に立ち上げる。ヴァンズの見識は、国外の著名コレクターからも一目置かれる。今年の正月には自身のストックを商品として出し、100人以上のヴァンズフリークの行列ができた。
今回、履いているシューズはこちら!
’80年代の<ヴァンズ>スリッポン。個人的には赤×白のカラーリングがお気に入りという。現行品にはない独特なテイストを醸し出す。
収集価値のあるヴァンズに
死ぬまで魅せられていくはず
「僕は365日ヴァンズしか履かないヴァンズ狂で、好きこそ物の上手なれのスタンスで、1年ほど前に自身のショップをオープンしました。そもそも、ここまでハマっている理由は、探究心を掻き立てられるからで。掘っても掘っても見たことのないオーセンティックやスケートハイに出会い、本当にディープだと感じています。今回、紹介している個人オーダーものは、今のナイキのIDシステムみたいなもので、’80年代後半までとされていますが、実は’90年代前半まで個人オーダーができたんですよね。まあ元々の出自がワゴンで大まかに売られていたからね。だから、独特なキャラをプリントしたエラなど、世界に1足しかないデザインが山のようにあるんです。売るとなるとそれはデザインや状態次第ですが、希少性が高いヴァンズは30万円以上する高価な物もある。本当に激レアなヴァンズは内緒なんですけど。見たことがあるってなっちゃうと価値が下がるから。まあ売り買いするときは、現金ではなく、カードゲームのようにお互いのレアなビンテージを物々交換し合うので。お金ではなくて好奇心をビジネスにしているような感じで、これってヴァンズだから成り立っているところもあって。
10年後もこのサブカルチックな世界観まで残したいですね。自分が10 年後にも履くってなるとビビッドなのは無理ですが。だから実際にはネイビーのオールドスクールを履いているはずです(笑)。だけど履くことで価値が下がるビンテージスニーカーは大事に所有しておきたいので、ガチで履きたいって思うのは逆に履かないかも。”ヴァンズ愛”は誰にも負けないと思うし、死ぬまで魅せられていくと思います。もちろん、アウトプットとしてヴァンズビンテージのストーリーやユーティリティ性を10年後も変わらずにショップから発信していけたらと、思っています」
今泉さんが選んだ「10年後」も履きたい靴はこの5足!
1_SK8-HI
’80年代の個人オーダーで、内側をライムグリーン、イエローのコンビでインパクトを強めただけなく、外側にはチェッカーフラッグ柄を施したクレイジーパターンが印象的なレアモデル。アート性が高く履きたいというよりも残しておきたい、コレクター欲をそそる1足。
2_SLIP-ON
ブラックが主流のチェッカーフラッグ柄だが、こちらはピンクの配色が珍しい個人オーダーのスリッポン。踵のパッチTMやインソールが皮革張りなのは、’80年代初期の特徴。一見ベーシックな見た目だが、ヴァンズのヒストリーがしっかりとディテールに残されている。
3_ERA
ヴァンズの個人オーダーは’80年代までが主体だが、こちらは’90年代に発注された珍しいモデル。ポップなキャラクターやカラフルな配色などレアなポイントが盛り沢山。こんなクレイジーなパターンをどんな人が発注したのか、想像も掻き立てられる。
4_AUTHENTIC
"95"のエイジメッセージがサイドテープに施されているオーセンティック。個人オーダーだが、カリグラフィのようなアレンジで、今のストリートシーンにハマるデザイン。当時はサイドテープも好きなデザインを指示することができ、自分だけのヴァンズを楽しめた。
5_ OLDSKOOL
’70年代後半のオールドスクール。トウのスエード部分が小さく、ステッチの入り方は’90年代以降のモデルと異なる。現行品で見受けられるソールのラインがないのも特徴。インソールの"made in USA”の刻印も残っていることで希少性は高く、プレミアム度は上がる。
※この記事の内容は2018年3月に発売した「FINEBOYS靴 Vol.10」の内容を再編集して掲載しています
今回スニーカーを熱く語ってくれた今泉さんのお店はこちら!
■スクロバ
住所:東京都杉並区高円寺南4-21-6 福家ビル101 ☎ 03・6873・5639
文/阿部省吾 撮影/道中貴弘