2018.10.22
「10年後」も履きたい靴。 vol.6MAGFORLIAオーナー 山田隆也さん
スニーカーシーンが刻一刻と変化する中で、この先のシーンはどうなっていくのだろうか。新作のリリースが絶え間なく続く今だからこそ、一つのタームとして10年後を想像してみたい。そんなシーンの未来像について、スニーカー界の重鎮たちが展望を各々に語ってくれた。珠玉の私物スニーカーも踏まえた内容は必見!
時代の変化に囚われない
シューズを履くこと。
MAGFORLIAオーナー
山田隆也さん
Profile/静岡・藤枝でスニーカーショップを運営。今年でオープンから10周年を迎えた。ビンテージの世界的なマニアとして知られ、特にプーマに関しては深い見識を持っている。スニーカーはもちろんのことだが、ビンテージウエアなどにももちろん精通している重鎮。
今回、履いているシューズはこちら!
今日の気分でチョイスしたというスウェード プラットフォーム ストラップ ウィメンズ。スエードをモデファインした女性用モデル!
行き過ぎた進化は本質を
見失うことに繋がると思う
「スニーカーとしての機能性はすでに成熟していますよね。ナイキのフライニットは革新的な技術で既存のフィット感の概念を覆したと思う。でもアクティブな開発ではこれ以上の急激な進化は個人的には必要ない気がしていて。マラドーナとメッシはどちらが上かといった類の論争も、条件が違うから一概に比べられなく、靴も過去と現在など単純によさを計れないものがある。そんな中で、今のギアは能力以外のものが引き出されようとしているのかと思ってしまうときがある。ギアの進歩が過剰に進み、ドーパミングが分泌された状態というか。そうなると進化の観点は変わることがあるかもしれない。たとえば、急な原油の高騰が続き、ゴム素材を使わないナイキのコンシダートみたいに、土に返るということが前提になるとか。行き過ぎた進化は、間違えば本質を見失うことにも繋がる。そういったことで、懐古的にビンテージは盛り上がると言いたいけど。ナイキやアディダスなどの現行品は加水分解が否めないものも多いし、希少なビンテージは海外へ流出している。もしも、またビンテージブームの大波がきたとしても、絶対数が市場から激減しているから、確実に大幅な価格高騰は回避できないですけどね。そんなことを思う中で、ナイキのエアチューンド マックスなどの’00年前後のスニーカーは、この先流行るかもしれないけど、一方で俺が純粋に履きたい靴ってなると、やはりプーマのローテクかな。とくに昨年自分の発案で復刻したバスケットは、長い時間をかけて育てていきたい1足。それと、昔のナイキのacgも好き。アディダスのシーユーレイターもいいよね。’90年代のアウトドアは独特の配色が好み。やっぱ時代の変化に囚われないシューズを俺は10年後も履いているよね」
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山田さんが選んだ「10年後」も履きたい靴はこの6足!
adidas Originals
SEEULATER
’90年代に発売をしたアディダスのトレイルランニングシューズ。名称は、ランニングフレンドに"SeeYou Later"と声掛けすることが由来。タウンユースでもグッドなフォルム。こちらは、見る人が見れば、オリジナルと違うデザインだと気付くはず。気になる方はショップまで
NIKE
AIR HALFDOME
’96年に海外でリリースをされたナイキのacgシリーズ。オフロードなシチュエーションから足元を保護するため、履き口には巾着パーツが付属している。深みの強いブラウンのカラーリングはストリートなウエアとマッチする。隠れた名品として、靴好きにとっては復刻が待ち遠しいモデル
PUMA
BASKET 90680
山田さんディレクションによるニューヨーク・ニックスの選手ウォルト・フレイジャーが実際に着用していたオリジナルのバスケットを忠実に模した復刻モデル。風格を感じさせる佇まいは、いつまでも残していきたいスニーカーという、立案者の想いがしっかりと込められている
CONVERSE
JACK PURCELL RALLY
人気モデルがゆえ、今後、個体数の減少の一途を辿る’70年代中期に発売された貴重なオリジナルのジャック パーセル。独特なトリコロールのカラーリングやソールのヘリンボーンが当時の雰囲気を今に伝えるビンテージ。ハトメの位置も現在のジャックパーセルにはない特徴的なディテール
NIKE
AIR MOWABB
オリジナルは’91年に登場した。当時では最新のテクノロジーであったハラチフィットシステムや伸縮性の高いネオプレーン素材を搭載したエア モワブ。ブーツとも見てとれる無骨なシルエットと独創的なオリジナルカラーは、今も高い支持を得ている。ナイキ、acgの不屈の逸品だ
NIKE
AIR TUNED MAX
エア マックスブームが終わり、終息気味のシーンを再燃させるべく、’90年代後半に企画されたナイキのアルファプロジェクト。こちらは、当時の最新エアであったチューンドエアを搭載したモデル。フューチャリスティックなデザインが魅力的。今後、復権の兆しがあるデザインだ
※この記事の内容は2018年3月に発売した「FINEBOYS靴 Vol.10」の内容を再編集して掲載しています
今回スニーカーを熱く語ってくれた山田さんのお店はこちら!
■MAGFORLIA
住所:静岡県藤枝市駅前2-6-12
TEL: 054-646-5333
文/阿部省吾 撮影/道中貴弘