2018.10.02
「10年後」も履きたい靴。 Vol.4クリエイティブディレクター、ビンテージナイキコレクター アクタガワタカトシさん
スニーカーシーンが刻一刻と変化する中で、この先のシーンはどうなっていくのだろうか。新作のリリースが絶え間なく続く今だからこそ、一つのタームとして10年後を想像してみたい。そんなシーンの未来像について、スニーカー界の重鎮たちが展望を各々に語ってくれた。珠玉の私物スニーカーも踏まえた内容は必見!
過去のリノベーションに
期待したいこの先の10年。
クリエイティブディレクター、
ビンテージナイキコレクター
アクタガワタカトシさん
Profile/クラシックナイキコレクターとして知られ、その見識はナイキ関係者も含め随一との評判。その後、スタイリストとして活動した後、現在はファッション、アウトドア、スポーツを軸にコンテンツ製作や商品開発に携わるクリエイティブディレクターとして活躍する。
今回、履いているシューズはこちら!
ファッション性をさらに高めるレザー仕様のエアマックス90は、カジュアルから大人なスタイリングまで合わせられる
’70年代にフォーカスした
コンセプトショップを見たい
「もともとビンテージから入っているのもあって、10年後も履きたいスニーカーとなると、過去の名品を現代的にアップデートしたものですね。たとえばこのコンバースのオールスターは、インソールがナイキのルナで、見た目そのままに、すごく履きやすくなっています。ナイキのエア モックも’94年に登場したオリジナルは個人的には履きにくくて……。でも2年前の復刻で屈曲性をアップデートし、履きやすさが上がったことで実用性が高まったと感じています。どちらも普遍的なんだけどそこにさりげなく履き心地を加えている感覚がベストで、大切にしたいシューズです。アディダスは’13年に発売されたミタ スニーカーズ別注で’85、’86年頃のキャンパスを復刻しているのですが、当時よりもシルエットがシャープになったことでコーデに合わせやすくなりました。黒シルバーって貴重なカラーで’90年代当時にオリジナルを探し出そうと思っても手に入る代物ではなかったから、その復刻に足を通せるだけでも格別でしたね。コロンビアは僕が企画したもので、街履きもできる防水モデルがあってもいいよなって思っていたのを実現した念願の1足。ファッション性と機能性を網羅したデザインです。10年後も間違いなく履いているはず。今は過剰すぎる新作の発売で需要と供給が崩れていますよね。それにコレクトするスニーカーは’90年代のモノまでだと思っていて。’00年以降はポリウレタン製ソールが中心で、それはいつかは壊れますから。だから今後はクラシックなスニーカーを元に履き心地をよくしたり、忘れられた名品をリファインするなど、どんどんリバイバルさせて欲しいですね。スニーカー黎明期だった’70年代にフォーカスしたコンセプトショップなんかも今あったら面白い。過去を振り返りながら、未来に残していくのが理想だと思います」
2/2PAGE
アクタガワさんが選んだ「10年後」も履きたい靴はこの4足!
adidas Originals×mita sneakers
CAMPUS 80’S
’80年代のキャンパスをモチーフに作られたミタスニーカーズエディット。アッパーに当時の黒シルバーの様相を残しており、ソールではクッショニングを高めるEVAソールを採用する。機能性を備えた温故知新なキャンパス。
Columbia
STUMP PATHMOOMNI-TECH
コロンビアのオリジナル素材であるオムニテックを駆使したスニーカー。通気性と防水性を兼備。アウトドアだけでなくライフスタイルでの活用を重視。アーバンなシーンで履けるようにスタイリッシュなデザインに仕上がっている。
NIKE SPORTSWEAR
NIKE AIR MOC ULTRA
オリジナルはacgシリーズより’94年に登場。登山後のクールダウン用に開発されたが、ドローコードのみのミニマムなデザインが注目を集め、タウンユースで支持を得た。’16年にソールの屈曲性を向上し、復刻を果たした。
CONVERSE
CONS CTAS PRO
ルナロンインソールを搭載したハイブリッドなオールスター。クラシックな見た目ながら、履き心地は抜群。こちらは歩行時の快適さを兼備したことで利便性が向上した。こんなオールスターを求めていた方は多いと思われる。
※この記事の内容は2018年3月に発売した「FINEBOYS靴 Vol.10」の内容を再編集して掲載しています
文/阿部省吾 撮影/道中貴弘