2020.10.10
「理想と現実が離れすぎて絶望感すらあった」大学1年生に聞いたコロナ禍の大学生活
新型コロナウイルスの影響でオンライン授業がメインとなっている大学生。とくに、キラキラした大学生活に胸を弾ませていたにもかかわらず、理想とは裏腹な”引きこもり生活”を過ごした大学1年生。右も左もわからないまま始まった、異例の大学生活で何を感じたのか。そんな大学1年生のリアルな心境を語ってもらった。
上智大学経済学部1年
M・Kさん
今年入学した大学1年生が、コロナ禍の大学生活で感じたこととは
・風当たりの強い大人たち
・授業の質が落ちている
・充実した大学生活を切実に望む
「正直、不安やストレスはすごく溜まっています。1人でずっと授業を受ける孤独感もしんどいし、自由に遊ぶこともできない。なんといっても、楽しみにしていた大学生活の1年をほとんど家で過ごさなければならない、その絶望感というか理想と現実の乖離が凄すぎてショックは大きいですね」
膨大な課題の量に四苦八苦する日々が続く
「オンライン授業になってから、ほぼすべての講義で毎回課題を提出し、学期末にはレポート提出しなければなりません。今までは、出席していれば単位がもらえるとかテストさえできれば単位がもらえるなど、課題は毎回なくても単位が取れる講義があったみたいです。ですが、今はそういった講義はあまりないんです。だから今まで以上に日々こなす課題が増えているように感じます。聞いていた大学生活とはまったく違う状況が続き、右も左もわからない1年生の前期は、不安で押しつぶされそうになったし辛いことも多かったです」
SNS投稿で批判。不安のはけ口がどこにもない
「大学生が不安に思っていることや課題が多くて辛いといった内容をSNSにアップすると、社会人と思われる人からの批判的なコメントが多いみたいで。“そんな課題もこなせなくてどうやって社会で生きていくの”とか。批判的な人もいるって知っていたのですが、課題が多くて疲れていたときに、私も辛いなーって投稿をしたんです。すると、フォロワーでもなんでもない人から批判的なコメントが届きました。思っているより、世間の大人は批判的で、SNSですらはけ口がない。そんなご時世なので、コロナ禍での大学生活における不安や悩みを言いづらいんです。初めての大学生活でわからないこと、不安なことだらけなのに、そういった感情を自分の中に留めることしかできないことが多いのは辛いですね」
「大人も外に出ないでほしい」というのが本音
「大学生はいまだに自粛ムードなのに、大人たちは、社会人とはいえ仕事終わりにお酒を飲んだりしているじゃないですか。大学生だって遊びたいけど我慢しているのに、大人たちが我慢してないのはどうかと思う。私はまだお酒も飲めない年齢だからお酒を飲んだりクラブに行ったりする人の気持ちがまだわかりません。楽しくて、ストレス解消とかになるんだろうけど、できるだけ感染リスクのある場所に行かないようにしてほしいです。感染者が減らないと大学生活はどんどん短くなるし、学園祭とかもできない。すべてが大人たちのせいというワケではないけれど、それぞれの人か意識して行動してほしいです」
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オンライン授業の実情が明らかに
大学の対応や講義に不満と不安が募る
「大学に入学したら、勉強して友達たくさん作るぞって思っていたけど、コロナ禍の影響もあってか大学のイヤな部分が顕著に見えています。こんなもんなのかなーとか思ってはいるのですが、当初は期待していただけに、授業や対応があまりいいと思えないことがたくさんあります」
無機質な授業に価値が見出せないことも
「1年生にとっては大学の“講義“が初めてのことで、わからないことだらけです。そんな中、オンライン授業でも丁寧に説明をしてくれたり、課題に対してちゃんとフィードバックをくれる教授もいますが、教授によってはレジュメやパワポだけ渡して講義をほとんどしない先生もいるんです。淡々と課題をこなしていますが、こんな講義であるならば、大学の授業でやる必要性があるのかなとか考えてしまいます。SNSで知り合った人たちも同じような感情を抱いていて、大学にいる意味が見出せず退学した人もいますよ」
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充実した大学生活を送りたい……切実な願いと現実
一刻も早く大学をスタートさせてほしい
「正直、そろそろ普通に大学に通ってもいいのではと思っています。私に限らず、同級生たちもみんな言っています。大学は人数も多いし、全国から人が集まるからリスクがあるのは理解してます。でも、ディズニーランドとかそういうテーマパークって普通にたくさんの人がいるじゃないですか。それがいいなら大学も同じことじゃない?って思っています。通学と同じように、いろんな場所から電車に乗って遊びに行っているのに大学はダメ。しかもそんな中でGOTOトラベルもスタートして、大学が始まってほしいと思っている大学生にとっては辛いことですよ。それよりも早く大学に行かせてほしいというのが本音です」
友達はできる⁉︎コロナ禍ならではの交友関係
「最初は友達ができるのか不安でしたが、前期の大学生活を経て思ったよりも友達は増えていきました。実際に会うことは少ないけど、SNSで同じ学部の人とやりとりをしたり、同じオンライン授業を受けている人と一仲良くなって課題やレポートなどの情報交換をしていました。講義が終わったあとにみんなで学食を食べるといった大学生らしいことはできませんが、同じ気持ちを持っている仲間が増えたのは心強いです。とくに少人数でグループワークをした人たちとは、実際に会って一緒に課題をすることもありました」
能動的な行動をしなければ何も始まらないと痛感
「コロナ禍でいろんなことが変わっています。講義のことはもちろん友達作りなど、今まで通りが通用しない時代になっていて、受け身の姿勢でいては何も得られないなとこの前期で感じました。自分から友達や先輩と関わっていろんな情報を交換しないと何も得られるものがないなと思います。私は人と話すのも好きだし、積極的な性格なのでよかったですが、そういうのが苦手な人は、今の大学生活が本当に辛いものになってしまうと思います。だからこそ早く大学をスタートさせてほしいです」