2023.01.07
僕らのちょうどいい名品 06バブアーのビデイル スリム 2L ノンワックス
この時期に新たにアウターを買うってなかなかないかもしれないけど、春先まで着られそうなものだったらむしろアリ!? 特に「いつか欲しいな」なんて考えている人が多そうなバブアーの定番「ビデイル」なんて、ここがベストタイミング。インナーを工夫すれば真冬もOKだし、厚すぎないから春も活躍。なが〜く着られる1着、欲しいよね。
武骨な佇まいで、1着持っていれば大人の男の仲間入り(!?)的なイメージもあり、バブアーを手に入れるタイミングを計っている人もけっこういるはず。そこで、あらためてバブアーの歴史を振り返ってみよう。創業は1894年で、もうすぐ130周年を迎える超名門。元々はイングランドの港町、サウスシールズの漁師や水夫に、耐水性の高いワックスドコットンのアウターを提供していたことが始まり。その後も労働者や海軍にウエアを提供していたんだけど、1980年代に入ると、ワークウエアだけでなく、ハンティングやフィッシングなどのアクティビティ向けアイテムもリリース。現在、バブアーを代表するモデル「ビデイル」も実は乗馬用ジャケットとして発売されたものなんだよね。発売当時は4つのフラップポケットだったけど、90年代からハンドウォーマーとフラップポケットを2つずつ備えた今のスタイルにチェンジ。この「ビデイル スリム 2L」はさらにそこから細身にしつつ、透湿撥水性に優れたノンワックスの2レイヤーにすることで着やすさを追求した。ワックスドコットンはバブアーの代名詞的な生地だけに「ノンワックスなんてバブアーじゃない!」なんて人もいるだろう。でも、ワックスドコットンの扱いの難しさ(満員電車で気を遣うとかね)から、購入まで踏み出せない人がいたのもまた事実。ノンワックスモデルが発売されたからこそ、僕らとバブアーの距離が近づいたような気もしない?
質の高さを証明する
ロイヤルワラント!
この「ビデイル スリム 2L」だって、形もディテールもワックスドコットンモデルと同じ。だから、ただただ扱いやすくなったというメリットしかないわけ。ちなみにだけど、イングランドには「ロイヤルワラント」という王室御用達制度がある。エディンバラ公、エリザベス2世、チャールズ国王がそれぞれ御用達認定を授けることができ、バブアーはそれを3人分もらっている数少ないブランドだ(背タグにある3つの紋章がその証!)。もし授けた王族が亡くなっても2年以内はその紋章が残ることにはなっているけど、エディンバラ公は2021年に亡くなったことから、バブアーは2022年の秋冬モデルより2ワラントに変更。この話、本国の他のロイヤルワラントブランドたちもちょっとザワザワしていて、というのも、昨年エリザベス2世も亡くなっているから、ここから数年でロイヤルワラントブランドの数が一気に減るのではないか と……。バブアーも今は2ワラントと3ワラントのアイテムが混在している状況。今後ワラントが1つになる可能性があるため、このタイミングのタグモデルがレアになるかも!?
フィールドで生きる
機能性を現在もキープ!
チンストラップ付きな上、スタンドカラーにもできる。袖は内側にリブがあるなど、乗馬用ジャケットらしい、風対策に抜かりなし!
バブアーのジャケット4万8400円(バブアー パートナーズ ジャパン)
名門バブアーが誇る
もう1つのマスターピース
バブアーの鉄板モデル2トップといえば、1つがこれまで紹介してきた「ビデイル」。そしてもう1つが「ビューフォート」だ。こちらは、2レイヤーのノンワックス仕様で、シルエットを従来のものから若干細く、モダンにアレンジした「ビューフォート スリム 2L」。見た感じだけで「ビデイルよりちょっと丈が長いだけ?」と思うなかれ。そもそも出自が違う。「ビデイル」は乗馬用ジャケットで、「ビューフォート」はハンティング用ジャケット。だから、ディテールにけっこうな差が出てくるわけだ。一番大きい違いは背面の裾まわり。「ビデイル」は馬に乗ったときにもたつかないよう、機動力重視でスリットが入っているけど、「ビューフォート」はそれがない。代わりに、ゲームポケットという狩りで捕らえた獲物を入れておく大きなポケットを備えている。もちろん今、狩りなんて行かないのはわかっているけど、手ぶらなのに1つバッグを持っているくらいの収納力があるのは嬉しいところだよね。とにかく、バブアーを買うなら、まずはこの2モデルから。どっちもバブアーらしいシブさとカッコよさを持っているから、機動力を選ぶか、収納力を選ぶか、キミのライフスタイル次第ってところ!?
バブアーのジャケット5万8300円(バブアー パートナーズ ジャパン)
バブアー パートナーズ ジャパン
☎︎03-6380-9170
文/池上隆太 撮影/松尾 修(STUH)