2023.12.11
僕らのちょうどいい名品 46フィルメランジェのニット
冬ならではのウエアとして、ワードローブに必ず加えておきたいニット。上品さや落ち着きのある雰囲気を醸し出すとあって、大人っぽい着こなしに必要不可欠のアイテムだ。とはいえ、何でもいいわけではないのは当然のこと。一見してハイクオリティだとわかる「フィルメランジェ」のニットなら、僕らのコーデを上質に整えてくれるはず。
ニットは冬のコーディネートに欠かせないもの。特にシンプルめデザインの1着は、合わせる服を選ばないし、使い勝手は抜群。僕ららしい主張しすぎない無難なスタイル作りに活躍してくれることは間違いない。上品さや柔和な印象もあって、まわりからの好感度も高いから、クローゼットには必ず仕込んでおきたいところだ。ただし、クオリティの良し悪しが見た目に出やすいニットは、選ぶブランドが大事。というわけで、推したいのが「フィルメランジェ」。「究極のカットソー」ブランドとして名高く、そのものづくりへの深さはニットにまで反映されている。希少なウールを使い、優しく包み込むような1着は、ひと目で上質さが伝わる名品。余計な装飾を省いたベーシックなデザインだけに、来年、再来年も着られるとあって、トータルで考えるとお得でもある。冬はインナーとして、春先は1枚でと、活躍の期間は長く、しばらくの間、メインワードローブの一角を担ってくれるだろう。
素材選びから縫製まで
こだわった至極の1着!
「フィルメランジェ」がスタートしたのは、2007年のこと。ウエアの原料となる「わた」選びから糸、生地、縫製まで、天然素材を使いながら、自社開発の日本製にこだわったブランドだ。『最高峰のカットソー』を作ることがブランドコンセプトで、自社工場の職人たちによる丁寧に仕上げられたアイテムが好評を博している。ファッションブランドとして第一線を走るデザイナー陣が係っていたとあって、ものづくりに対する思いはお墨付き。こちらのニット「シャイ」は、ちょうどいいネックの開き具合で、ルーズすぎず、締め付けすぎずという快適さに加えて、シルエットもほどよいフィット感。合わせるパンツを選ばない万能性を持ち合わせた1着だ。
貴重なウールと味あり糸の
マッチングが絶妙!
こちらの「フィルメランジェ」のニット「シャイ」シリーズは、生地にスコットランド北部のシェットランド諸島にいる羊の毛を採用。過酷な冬の寒さや湿度の高さ、海藻も食べるという飼育環境によって、柔らかい毛質が特徴になっている。ちなみに、シェットランド種の羊は、生息数が限られていて、1頭から得られる産毛量が少ないというレアなもの。「シャイ」はそんなシェットランドウールと、太さが不均等で味を感じさせるスラブ糸を合わせて製作。それにより、生地の表面に独特な凹凸が生まれ、シンプルながら、表情豊かに仕上がっている。素材の柔らかさに加えて、肉厚なのに軽く、一度着たら、病みつきになる着心地も魅力のひとつ。
フィルメランジェのニット4万4000円(フィルメランジェ)
ナチュラルで味わい深い
「杢」がさりげなく主張!
「フィルメランジェ」という名前の由来は「混ざった色の(メランジェ)糸(フィル)」という意味から。昔ながらのTシャツやスウェットシャツなどに使われてきた杢色の糸をイメージしていて、ブランドが展開するアイテムも、その名前に違わない趣に仕上がっている。こちらの1枚もホワイトながら、奥ゆきがあり、温もり感と甘い雰囲気がにじむ。退屈さを感じさせないニュアンスがあり、冬にありがちなダークトーンのアウターのインナーとして使えば、メリハリをつけた着こなしにちょうどいいアクセントを加えてくれそう。もちろん1枚で着て、ラフなパンツに合わせても、ほどよい上品さをプラスしてくれるのが想像できる逸品。
フィルメランジェのニット4万4000円(フィルメランジェ)
アウター使いでもインナーでも
あくまでちょうどいい存在感!
これまで紹介した「シャイ」と同様、シェットランドウールとスラブ糸で撚って、味わい深い表情を作った「シェイン」。カウチンニットを彷彿させるスタイルながら柄はなく、代わりにブランド特有の杢色がさりげなく効いている1着だ。ジップアップ仕様で、アウターとしてレイヤードコーデを楽しむもよし、極寒期はオーバーサイズのアウターの中に挟むもよし。白ロンTにデニム合わせで、復権の兆しを見せるアメカジスタイルを、品よく整えるのにもぴたりとハマりそう。「フィルメランジェ」のニットは、悪目立ちはしたくないけど、それなりに個性を出したいなんて、わがままな僕らにぴったりなさりげなさが、手に入れる価値といえる。タイムレスなデザインで長く着られる上質ニットを、ここらで手に入れておいてはいかが?
フィルメランジェのニット5万5000円(フィルメランジェ)
フィルメランジェ
☎︎03-3473-8611
文/池上隆太 撮影/松尾 修(STUH)