2021.09.20
ベーシックインカム、キミは賛成?反対?
お金のことって難しいし、知りたいと思っても周りの人に聞きづらい……。 それならプロに聞くのが一番! 早速お金の専門家・楓先生に、一度は耳にしたことがあるベーシックインカムについてお話ししてもらおう!
【目次】
ベーシックインカムとは?
湧いて出てくる……わけじゃない
すでに始めている国はどんな反応?
結局は「自分事」と考えられるかどうか
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ベーシックインカムとは?
2020年、コロナ禍での経済政策のひとつである特別定額給付金として、現金10万円が給付されたのは記憶に新しいですよね。まとまったお金が貰えるのがうれしくない人はいないはず。この給付金のように1回きりではなく、定期的に国からまとまったお金が給付される制度の導入が、最近話題となっています。それが「ベーシックインカム」です。
ベーシックインカムとは、政策の一環として、国から国民に対して無条件で毎月一定の現金を支給するという制度。たとえば月10万円のベーシックインカムが導入されたとしたら、毎月どんな人でも10万円を貰うことができます。普通に働いて稼ぐお金とは別に、何もしなくても毎月決まったお金が手に入るなんて、なんだか夢のようですよね。
なぜこんな政策の導入が検討されているかというと、今現在でも生活保護や失業保険、児童手当といったようなお金が給付される制度はあるものの、実際に貰うまでの手続きが複雑だったり、条件が厳しかったりと、なかなか必要なときに必要な人に届けることが難しいという問題があるんです。そこで、そういった複雑な手続きや審査をせずに、とりあえず最低限のお金を渡しておこうというのがベーシックインカムの導入が検討される理由です。
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湧いて出てくる……わけじゃない
ベーシックインカムのメリットは、なんといっても最低限の収入が保障されるという点。月々のお給料が少ない人や、たまたま今失業して収入がない人、お金には困っているけど生活保護のように今ある制度の対象からは外れてしまっている人をはじめ、国の政策として定期的にお金が給付されることで、少しでもそれぞれのお金の不安が減ることになるはず。また、国民一人一人にとなれば、子どもの分も定期的に貰えるので、子どもを育てるのにお金がかかるといわれる現代で、子育て費用のプラスにもなります。
そんなメリットだけ聞くと、定期的にお金が貰えるなんて最高じゃん! なんで早く導入されないの?と思ってしまうのですが、もちろんデメリットもあるんです。
「そもそもベーシックインカムの元となるお金、どこから持ってくるんだ問題」が何よりも一番の課題です。無条件で国民一人一人にお金を配るとなると膨大な金額に。今ですら税金も高いし、年金や健康保険の支払いだって安くないのに、消費税や所得税などを増税することになったり、医療費の負担が現状の3割からもっと増えたり、将来貰える年金の金額が少なくなったりと、ベーシックインカムを成立させるために、今ある社会保障が縮小されてしまったり、出ていくお金が増える可能性があります。せっかく無条件で定期的にお金が貰えることになっても、さらに生活が厳しくなってしまうのでは意味がありませんよね。また、ベーシックインカムがあることで働かなくなる人がいるという懸念もあります。働かない人が増えると、社会全体が機能しなくなってしまいます。
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すでに始めている国はどんな反応?
デメリットのことも考えると、現状では絶対にやってほしい! ともなかなか言い切れないベーシックインカム。じつは、世界ではすでに導入を始めた国もあるのです。たとえばフィンランドでは、失業手当を儒教している人のうち2000人を対象に、条件なしで2年間にわたって月約6万円を支給するという実験を行いました。こちらの実験では、ベーシックインカムを貰ったとしてもみんな働かなくなるというわけではなく、ベーシックインカムのおかげで経済的安心感が増えたという結果になっています。
またスペインやドイツなどでも条件付きのベーシックインカムの導入がすでに決まり、申請も始まっています。ほかにもいろいろな国で検討がされていて、日本でのベーシックインカムの導入を本格的に考えるタイミングというのも、どんどん近づいてきていると言えるでしょう。
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結局は「自分事」と考えられるかどうか
ベーシックインカムの元となるお金を、私たちの生活が厳しくならない方法でうまく確保することができればいいのですが、それがないのであれば導入するのがベストとは言えません。今後も引き続きベーシックインカム導入についての話題が続くと思いますが、ただ「お金が貰える! 早く導入してほしい」と思うだけではなく、どういうところからお金が集められて、どういう状況のもと導入されることになるのかというところまでチェックしつつ、ベーシックインカム導入の行方を追うようにしてみましょう!
プロフィール/よこかわ・かえで。明治大学法学部卒業後、同大学院へ進学、24歳で経営学修士(MBA)を取得。 地下アイドルという異色の経験を持ち、現在はとくに若い世代やお金のことをあまり知らない世代へお金の知識の啓蒙を行い、唯一のミレニアル世代のお金の専門家/経済評論家として活動中。「お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく」がモットー。初の著書となる「ミレニアル世代のお金のリアル」(フォレスト出版)が好評発売中。公式YouTube「かえぽんチャンネル」でもお金についてわかりやすく解説中!
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