2023.03.17
僕らのちょうどいい名品 14ディッキーズの874 ワークパンツ
素材や色柄、シルエット……さまざまなタイプのパンツがあるけれど、日々のコーデを組む上では、幅広い服に対応できるベーシックな1本が欠かせない。そこで押さえておきたいのが誰もが知る王道、ディッキーズの「874 ワークパンツ」。気をてらうことなく、長年愛され続けているスタンダードアイテムの魅力を再確認!
デニムだったら501とか、スニーカーだったらオールスターとか、いろいろなファッションアイテムの中にそれぞれ、これぞ「スタンダード」というものがある。もちろん、そうなるためには、そのジャンルのオリジナル的な立ち位置だったり、機能性や合わせやすさなど、確かな理由が存在するわけで。今回紹介するディッキーズの「874 ワークパンツ」通称「874」も、そんな要素を揃えた「スタンダード」なアイテムの1つ。ワークパンツといえば……な名品だ。ディッキーズというブランド名は、ほとんどの人が耳にしたことがあるだろうし、「874」はそのベーシックさから、ブランドやショップ別注なんかもかなり多い。だから、知らず知らずのうちにはいていた、なんて人も少なくないはず。ちなみにその原型と言われるモデルが誕生したのは、なんと100年ほど遡る1923年。ディッキーズ自体が創業した翌年、「カーキ」というパンツを作ったことで「874」の物語がスタートする。
「874」の歴史は
ディッキーズの歴史
ディッキーズの始まりは1922年のテキサス州。C.N.ウィリアムソンとE.E.ディッキーという、いとこ同士によって創業された。見てわかるとおり、ブランド名はシンプルに創業者の名前から。今でも「ワーク」=「ディッキーズ」のイメージがあるけれど、それを作り出したのもこの2人。アメリカ全土にわたって、農夫や鉱夫など労働者の元をまわり、それぞれの仕事の作業着に必要な特徴を調査したという。おかけで、労働者たちのニーズにちゃんと合致したアイテムが生まれ、ディッキーズの名前はどんどん浸透。第二次世界大戦後もそのマインドでモノ作りを続け、50年代に入って、ついに「874」が完成する。そしてこれも地元テキサスの石油労働者に向けて作ったものだった。そんなふうに労働者の生の声を聞き続けたディッキーズのポリシーは「FIT YOU,FIT YOUR JOB」。タフで機能的、どんな体型にも仕事内容にもフィットする「リアルワークウエア」という、確固たるアイデンティティを築き上げたわけだ。
90年代に入ると
ストリートを席巻!
いい意味でその風向きが変わるのが90年代。ワークウエアの代名詞であることは変わりないけど、身につける人たちの幅が広がってきた。まず、こぞって「874」をはき始めたのが、アメリカ西海岸のスケーターたち。労働者に必要だったタフで動きやすいパンツは、確かにスケートにもぴったりで理に叶う。さらにルーズなシルエットを好むヒップホップアーティストたちにも浸透し、一躍ファッションアイテムとしてスポットを浴びることになっていく。もちろん、今でもその流れがあるわけで、もしかしたら、こっちのイメージが強いって人のほうが多いかもしれないよね。テイパードが効きすぎていないシルエットは、ワイドパンツが市民権を得た今どきのコーディネートにもよくハマる。また、センタープリーツを生かしつつジャストではけば、スラックスっぽい趣で、キレイめなコーデにもしっくりくるでしょ。まさにワードローブに必ず入れておくべき、使い勝手のいいパンツだと思わない?
ディッキーズのパンツ7700円(ディッキーズ)
カラバリを揃えれば
どんなスタイルにも対応!
そんなワークパンツ「874」は、コットン35%×ポリエステル65%の生地を使ったいわゆる「チノパン」でもある。というと、やっぱりベージュが本命だけど、カラバリが豊富なのも「874」の魅力の1つ。しかも手に入れやすい価格とあって、何本も揃えたくなってしまうのが本音でしょう。クローゼットの中のウエアと相談しながら、自分のコーディネートにハマりそうな色をいくつかピックアップするのもありかもしれない。ちなみに表面には汚れにくいコーティングが施されているから、あまり気を使わずはけるのもいいところ。ガシガシはきこんで、どんどんリピートしていく、そんな付き合い方がちょうどよさそうだよね。
ディッキーズのパンツ各7700円(ディッキーズ)
ディッキーズ
dickies.jp
文/池上隆太 撮影/松尾 修(STUH)