2022.07.07
間宮祥太朗が考える、世の中を変えるために必要なこと
島村藤村による不朽の名作小説を原作にした映画「破戒」が7月8日(金)から公開スタート。主人公の瀬川丑松を演じるのは、間宮祥太朗。難役を見事に演じ切った彼に作品の魅力について迫った。まずは、今ハマっているキャンプについてトークしてもらったので、そちらからチェックして!
■“何をしてもいいし、何もしなくてもいい”が間宮流
ーー今、一番好きなモノやコトを教えてください!
「今はキャンプにハマってます」
ーー好きになったきっかけはありますか?
「もともと自然や動物と触れ合うのが好きなんです。こどもの頃、よく祖父母と世界中を旅行して、自然公園に連れていってもらったんです。そんな幼少期の楽しかった思い出のおかげですね」
ーー世界中、、、ですか??
「はい、アメリカの国立公園とかカナダとかオーストラリアなどに連れていってもらいました。そこでキャンプはしてませんが、すごく楽しかったですね」
ーー今、キャンプはどのくらいの頻度で行くんですか?
「定期的ってわけではないんですが、今はオフになる度にって感じです」
ーー間宮さんのライフスタイルとかなり密接ですね。
「オフの日にどんなにゆっくりしたとしても、ずっと都会にいると息が詰まっちゃうタイプなんですよね。だから今キャンプにハマっているっていうのは必然だったんだと思います」
ーー間宮流のキャンプでの過ごし方を教えてください!
「“何をしてもいいし、何もしなくてもいい”。これに尽きます。自分が考えるキャンプの一番の醍醐味です。川のせせらぎや野鳥の鳴き声を聞くのもいいし、ルールさえ守れば好きな音楽をかけたっていいし」
ーー自由そのものですね!
「何にも邪魔されない自由な時間や空間に身を置くことで、人って心から落ち着くんですよね。今じゃなくてはならない時間になっています」
ーーキャンプでの一番の楽しみってなんですか? やっぱりキャンプ飯?
「焚き火ですね。どこに行ってもとにかく薪はくべていたい(笑)」
ーー焚き火の魅力ってどんなところにあると思いますか?
「炎を眺めたり、薪がはぜる音に耳を傾けてると、気持ちが不思議と安らいてくるんですよね。焚き火をしている時って、なにかに思いを巡らせたりすることは一切しない。ただ「気持ちいい~」とか「あったけー」とか言ってるのが、自分にとっての至福の時間なんです(笑)」
■キャンプは人間本来のシンプルさを取り戻してくれる
ーー突然ですけど、キャンプって間宮さんにとってどんな存在ですか?
「自分を素の状態に戻してくれるものですね。そんなにせかせか生きている感じじゃないし、使命感とかそういうものを課して仕事をするタイプではないけど、ずっと突き詰めて仕事をするとやっぱり息が詰まってきちゃうんですよね。今はキャンプでそういう状態をリセットしている感じです」
ーー今の活躍を支えている一つの要素とも言えそうですね。
「特に仕事に対していい影響とか効果は求めているわけではないんです。でも、精神と身体とか、自分の人生にはメリットしか感じないですね。人間本来のシンプルさを呼び戻してくれますね、キャンプは」
ーー人間本来のシンプルさを呼び戻すって具体的にはどういうことですか?
「その日1日を生きるためのエネルギーを食べることで摂取して、体を動かしたらまた食べて、眠ることで体を休めて、みたいな。ゆっくり時間を過ごしながら思い浮かぶことといえば、『これができれば幸せ』ってこと。これに尽きると思います。人間が生きるための本質がすべて詰まっていると思うんです。キャンプしている間って、意識をしなくても携帯電話に触らなくなるし、ネットに繋がっている必要もない。世の中のすべてから解放されている証拠ですよね」
ーーなるほど。確かにシンプルだし、すごく自由ですね。
「ベースとなる幸せがすでにあるから、あとは人それぞれが必要なものを足していけばいい。とか言って、そうよくよく考えたらいらなかったよねっていうキャンプギアをたくさん足していっちゃうんですよね。僕の場合(笑)」
ーーそういうものですよね(笑)
「でも、これからも生活の一部としてキャンプは続けていきたいです!」
■不朽の名作小説が60年の時を経て映画化
ーー『破戒』が令和の時代に新たに映画化されました。完成した作品を観て、どんな感情を抱かれましたか?
「自分はあまりシンプルな感想を持つことはないんですが、『いい映画だな』って素直に思えましたね」
ーー主人公の瀬川丑松を演じましたが、過去の作品でも難役とされてきました。どのように役に入りましたか?
「とにかく静寂、静かである必要があったんですよね。自分の出自に対する苦悩や葛藤している姿を人前に晒してはいけないし、かと言ってすべての感情をシャットアウトしているわけでもないので、そのさじ加減については監督とすごく話し合いました」
ーーその静寂をどのようなアプローチで表現していきましたか?
「“見つめる”ってことだったと思います。目の前にいる自分の生徒や日常的な世間での差別とか、そこに対してしっかりフォーカスを当てて見つめることで、人って自然に静かになると思いましたね」
ーー結果、間宮さんが演じた丑松は非常に高潔な人物として、観る人の印象に残ると思いました!
「出自を明かした丑松に同僚の銀之助が発した『まさか君が』ってセリフがあるんですが、やっぱり差別って先入観によるところが大きいと思うんです。そういうところからちゃんと自立している丑松は気高い存在だと思いますね。観る人にも、そう感じてもらえたらうれしいです」
ーー丑松から間宮さんご自身が影響を受けたり、感化されたりしたことはありましたか?
「なかなか真似できることではないけど、自分の今あるすべてを投げ打って誰かに影響を与えるってすごいことだと思いました。自分のためでもあったかもしれないけど、丑松は教師としていろんなものを賭けて生徒たちと向き合っていた。そして未来を切り拓いた。生徒たちにとっては生涯忘れ得ない瞬間になったと思います」
■世界が変わるのも、変わらないのも自分次第
ーーこの作品を通して、どんなことを伝えたいですか?
「丑松が決意を持って一歩踏み出した。それで世界は変わらないけど、丑松の世界は180度大きく変わったわけです。これが一つの真理だと思います。自分がもし世界を変えたかったら、自分のものの見方や考え方を変えるのが一番ということを感じて欲しいし、自分自身はこの作品を通して再確認できましたね」
ーーストーリーに戻すと、確かに丑松の生徒たちの世界が変わって、それが世界を変える可能性もありますね。
「それが人間の面白いところだと思います。自分が持っている哲学って、出会いや見てきたもので輪郭を成していると思うんです。この作品についてもそうだと思います。僕が『差別はダメです』とか『強さとは弱さとは』と言うよりも雄弁に語りかけてくれます。なので、本作を是非を観ていただいて、自分の中でいつもこねている考えがどう変わるかを自分で確かめて欲しいと思いますね」
PROFILE
まみや・しょうたろう/1993年6月11日生まれ。神奈川県出身。 2019年に出演した映画『殺さない彼と死なない彼女』にて、第29回映画評論家大賞・主演男優賞を受賞。2022年7月8日(金)から公開される映画『破戒』では、主人公の瀬川丑松を演じる。
映画『破戒』/7月8日(金)公開
公式サイトはコチラ
STORY
この戒めを破り、明日を生きるーー
瀬川丑松(間宮祥太朗)は、自分が被差別部落出身ということを隠して、地元を離れ、ある小学校の教員として奉職する彼は、その出自を隠し通すよう、亡くなった父からの強い戒めを受けていた。彼は生徒に慕われる良い教師だったが、出自を隠していることに悩み、また、差別の現状を体験することで心を乱しつつも、下宿先の士族出身の女性・志保(石井杏奈)との恋に心を焦がしていた。
友人の同僚教師・銀之助(矢本悠馬)の支えはあったが、学校では丑松の出自についての疑念も抱かれ始め、丑松の立場は危ういものになっていく。苦しみのなか丑松は、被差別部落出身の思想家・猪子蓮太郎(眞島秀和)に傾倒していく。猪子宛に手紙を書いたところ、思いがけず猪子と対面する機会を得るが、丑松は猪子にすら、自分の出自を告白することができなかった。
そんな中、猪子の演説会が開かれる。丑松は、「人間はみな等しく尊厳をもつものだ」という猪子の言葉に強い感動を覚えるが、猪子は演説後、政敵の放った暴漢に襲われる。この事件がきっかけとなり、丑松はある決意を胸に、教え子たちが待つ最後の教壇へ立とうとする。
キャスト:間宮祥太朗、石井杏奈、矢本悠馬、高橋和也、小林綾子、七瀬公、ウーイェイよしたか(スマイル)、大東俊介、竹中直人、本田博太郎、田中要次、石橋蓮司、眞島秀和
原作:島村藤村『破戒』
脚本:加藤正人/木田紀生
監督:前田和男
音楽:かみむら周平
配給:東映ビデオ
衣装はTシャツ1万6500円(メゾン ミハラヤスヒロ)、ウィザードのジャンプスーツ3万8500円(ティーニーランチ)、カンペールのサンダル2万4200円(カンペールジャパン)、ノース ワークスのバングル1万9500円(ヘムトPR)
●カンペールジャパン
TEL:03-5412-1844
●ティーニーランチ
TEL:03-6812-9341
●ヘムトPR
TEL:03-6721-0882
●メゾン ミハラヤスヒロ
TEL:03-5770-3291
文/橋本裕一 撮影/榎本洋輔 スタイリング/津野真吾(impiger) ヘア&メイク/三宅 茜