2020.04.29
「会社の雰囲気がWEBだとわからない!」コロナで広がる就活生の不安
新型コロナウイルスで大きな影響が出ている就職活動。WEBでの説明会や面接などこれまでになかった選考方法を強いられ、企業も学生も手探りな状況が続いている。FINEBOYSではそんな前代未聞の就活で不安の最中にいる学生に電話取材。第3回目は、広告業界、自動車業界、IT業界を志す3人に話を聞いた。
【目次】
1人目:広告業界志望・法政大学4年 Y.Nくんの場合
2人目:自動車業界志望・國學院学院大学4年 K.Mくんの場合
3人目:IT業界志望・成蹊大学4年 T.Nくんの場合
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まずは広告業界志望の就活状況から
コロナ禍での就活状況:1人目
【広告業界志望・法政大学4年Y.Nくんの場合】
●WEB面接のアドバイス、あります!
――まずは今、どんな企業を受けているのか教えてください。
「広告、不動産、金融など幅広く就活しています。希望の業界は強いて言えば広告系ですが、それよりも大手と呼ばれる企業に就職したい気持ちのほうが強いです。エントリーしたのは40社くらいで、そのうちの20社ほど通過して選考が進んでいます」
――今一番選考が進んでいるのは?
「一番進んでいて1次面接の結果待ち、って感じです。コロナがひどくなる前に、対面で不動産会社の1次面接をやりました。あとは先週、広告系と証券企業の1次面接をそれぞれWEB上で行いました」
――あとは説明会の段階ですか?
「そうですね。説明会も延期ばかりでまだ参加できていない企業がたくさんあります。エントリーシートの合否通知後、まだなんの連絡もきていない企業もあれば、面接前にWEBで”リクルート面談”を設けてくれた企業もありました。本当に企業によって対応がまちまちだと感じています」
――WEBでリクルート面談というと?
「この間1次面接を行った証券会社だったんですけど、学生の僕らが実際に会社に訪問できない分、少しでも会社のことを知れるようにOBの方をブッキングしてくださって。テレビ電話で相談ごとや疑問点に答えてもらいました。正直、WEB説明会だけではイマイチ会社の雰囲気もわからなかったし質問もできなかったので、面接前にこうした機会を設けてもらえてとても助かりました」
――なるほど! それは面接へのモチベーションにもなりますね。その後のWEB面接はどうでしたか?
「とくに失敗もなく、練習通りに進められたので安心しました。説明会ではつかめなかった会社の雰囲気や細かい業務内容について、リクルート面談で社員の方から事前に話を聞けていたのも大きかったと思います。そこでまた新たに浮かんだ疑問などもWEB面接で尋ねることができました」
――実際に社員の方の生の声を聞ける機会があると、オンライン選考でも不安が少ないですよね。
「そうですね。OB訪問がなかなかできないと不安なので、こうしてオンライン上でも個人個人で話を聞けるのはうれしいです。実際に企業に足を運べずに、選考だけ進んでしまっている企業もあるので。少しでも自分と企業のギャップを減らしていけたらいいなと思っています。ただ、こうして企業側が機会を設けてくれないと……。自分でできることといえば、会社のHPやネットの企業掲示板を眺めるくらいになってしまうんですよね」
――家でできる企業研究も限界があるんですね。最後に、これからWEB面接を初めて受ける就活生に向けてアドバイスはありますか?
「そうですね〜。できるだけ明るい部屋で行ったほうがいいと思います! ほかの就活生を見て思ったんですけど、けっこう画面が暗くて表情がわかりづらい人がいて。窓際とか、白い壁の前とか、なるべく明るくさわやかに見えるように工夫したほうが得だと思います。あとはカメラの角度! カメラが自分の目線より極端に低い位置にあると、不機嫌というか偉そうに見えるなと感じました。椅子や机の高さを調整して、カメラは目線と並行か、少し上の位置にあったほうがいいと思います!」
【Y.Nくんのコロナ就活状況まとめ】
・選考は一次面接まで
・WEB面接前の”リクルート面談”で疑問解消!
・WEB面接は明るい部屋で&カメラの位置に注意
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2人目は國學院大学4年K.Mくん
コロナ禍での就活状況:2人目
【自動車業界志望・國學院大学4年K.Mくんの場合】
●企業とのミスマッチが起きそうで不安
――まずは今、どんな企業を受けているのか教えてください。
「自動車業界をメインに受けています。今エントリーしているのは6社です」
――その中で一番選考が進んでいるのは?
「説明会止まりで、まだ選考まで進んだ企業はありません。緊急事態宣言が出る前に対面で説明会をしたのが1社、緊急事態宣言後にWEBで説明会を受けたのが1社です。どちらもまだ選考の日程が来ておらずで、その他にエントリーシートを出している企業も合否結果待ちですね」
――では今の段階では、追加で他の企業にエントリーをしたり?
「いえ。あまりしていません。このご時世だし、エントリー数はできるだけ増やしたほうがいいと友達や先輩にも言われたんですけど……。説明会も直接行けていない状態で、その企業のことを理解していないままエントリーするのはちょっと違うなって思うんです。やっぱり直接会社に行って、建物や働いている人の様子を見たいなと。会社に実際に訪問しないまま、オンライン選考のみで内定をもらっている就活生もけっこういるみたいなんですけど、僕はなるべくそれは避けたいです」
――やっぱり自分の目で会社を確かめることが重要だと。
「そうですね。じゃないと、どうしても入社後に自分と企業とのミスマッチが起きてしまう気がするんです。でも、この状況でそうは言っていられないことも十分わかっているので、万が一オンライン選考のみで就職することになった場合、会社と合わないなと感じたらすぐにでも転職する!という覚悟は持つべきなのかなと今は思っています」
――もう入社後のことまで考えているんですね。こういった状況の中で就活をしていて、ほかに不安なことはありますか?
「志望度の高い企業の説明会がすべてWEB上になっていて、就職後のミスマッチが不安なことが一番なんですけど……。あとは、企業の採用人数が減ることで倍率が上がってしまうことでしょうか。自分が志望している自動車業界は直接の被害が少ないのでそこまで意識していませんが、この先どうなるのかわからない部分が多いので不安です」
【K.Mくんのコロナ就活状況まとめ】
・コロナに煽られず、企業は厳選してエントリー
・就職後のミスマッチが一番の不安
・1年目での転職も覚悟!
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3人目は成蹊大学4年T.Nくん
コロナ禍での就活状況:3人目
【IT業界志望・成蹊大学4年T.Nくんの場合】
●問題なく進んでいると思います
――まずは今、どんな企業を受けているのか教えてください。
「IT業界が第一志望です。エンジニアか営業になれたらいいなと思っています。15社エントリーして、その半分くらいの企業で選考が進んでいる状況です」
――順調ですね! 一番選考が進んでいる企業は今どの段階ですか?
「IT業界は全体的に選考スタートが早いので、その分コロナの影響を受けづらかったんだと思います。一番進んでいる企業は最終面接の結果待ちです。この企業は去年の2月から説明会があって、オンライン選考に移行したのも最終面接だけでした。エントリー開始が遅かった企業でも、WEB説明会、WEB面接と一通りは経験しました」
――コロナの影響が出る前に選考が進められていたんですね。
「そうですね。エントリーが遅かった企業は説明会もWEB上で、企業に直接訪問できてはいないんですけど、だいたいの企業はそういうこともなく選考を進めることができました。ただ、まだ志望度の高い企業から内定をいただけていないので楽観視はできないです。万が一、今選考が進んでいる企業から一つも内定がもらえなかったらと考えると……」
――一からオンライン上で就活をすることが不安ですか?
「はい。また一からエントリーするとしたら、会社の雰囲気を掴めないまま選考に挑むことになりますよね。そうなると自分がその会社でどう働くのかイメージができないし、よくある”この会社で10年後、どうしていたいですか”という質問なんかにも答えづらいなって。これからも自室にいる時間は短くならないだろうし、モチベーションが維持できるのかも不安です」
――オンライン選考を一通り経験した感想は?
「WEB説明会でいえば、好きなときに参加できる点はよかったかなと思います。実際に出向いていたらとても労力がかかるなと。IT企業は収録済みの動画を期日までに観るという形式が多かったので、自分のペースで消化することができました。ただ、収録済みの動画だと企業の方々の本音の部分が見えないというか……。対面だったら、質疑応答を重ねていくうちに砕けた雰囲気になって会社の”素”の部分が見えることもあったんだろうなと思うんですよね。質問もその場でできないので、正直もどかしい気持ちもありました」
――WEB面接のほうはいかがでしたか?
「一番選考が進んでいる企業が最終面接だけWEB面接だったんですけど、思っていたよりスムーズに意思疎通が取れたなと感じました。始まってすぐは会話のリズムに違和感があったけど、やっていくうちに慣れましたね。対面式の面接と、あまり変わらない気持ちで挑めました」
――それはすごい! これからWEB面接を受ける人は、何に気をつければいいでしょうか?
「そうですね……。WEB面接だからって気負わずに、緊張しすぎないことが一番だと思います。画面越しですけど、面接官の方も人間ですし。この状況に慣れていないのは同じだと思うんです。あとはZOOMやスカイプのようなビデオ通話に慣れておくことかなと。自粛要請中に友達とビデオ通話をすることが増えたんですけど、僕はそこで面接の練習に付き合ってもらったりもしました。これ、オススメです!」
【T.Nくんのコロナ就活状況まとめ】
・ IT企業は選考が早い!今は最終面接の結果待ち
・WEB説明会だと企業の”素”が見えない……
・WEB面接は友達と練習して要領を掴めばOK
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、厳しい就活が続いている大学生たち。その不安は今現在にだけでなく、就職後の自分の状況にも広まっている印象。実際に企業に足を運べないことや合否の通知が先延ばしされていることから、就活生のモチベーション維持も難しくなりそうだ。
シリーズ「コロナ禍の就活」過去の記事はコチラ
vol.1 アパレル、金融、歯科業界志望の3人の場合
vol.2 不動産、芸能、ホテル業界志望の3人の場合