2023.10.17
僕らのちょうどいい名品 040レッドウィングの6インチ クラシックモック
秋冬ならではのフットウエアといえばブーツ。特にワークブーツなら、カッチリしすぎず、カジュアルスタイルに合わせやすいということで、1足は持っておきたいところ。そこで、オススメなのが、永遠のスタンダードともいうべき「レッドウィング」の6インチ クラシックモックだ。1度手に入れてしまえば、一生モノとなる名作をご紹介!
季節も変わったことだし、スニーカーやサンダル一辺倒だったコーディネートの足元に変化をつけたい、と考える人も多いはず。それなら、ワークブーツをフットウエアの選択肢に入れておきたいところ。秋冬らしい重厚感がシーズンムードを高めてくれるし、気取りすぎない印象で、ラフなウエアにも合わせやすい。とはいえ、たくさんありすぎて、どんなブランドを選べばいいかわからないなんて悩みも出てくるだろう。そんなときは、やはり王道。「レッドウィング」を選んでおけば間違いない。その中でも、6インチ クラシックモックの「#875」はど定番。オレンジがかったブラウンのレザーアッパーで、最近復権中のデニムにもよく似合うし、ベーシックなベージュチノなんかとも相性がいい。履きこむうちにレザーにアジが出てきて、自分だけの1足に育てていくのも楽しみだ。ソールの交換やステッチの縫い直し、ハトメやフックの付け直しなど、リペア体制も充実しているから、1足手に入れてしまえば一生履けそう、というのも、「レッドウィング」を選ぶべき理由の1つ。
ザ・アメカジスタイルがよく似合う
通称「アイリッシュセッター」
「レッドウィング」の歴史は、1905年にチャールズ ベックマンによって設立された「レッドウィング シューカンパニー」からスタート。その名前は、アメリカ・ミネソタ州にある小さな街「レッドウィング・シティ」に由来し、今も拠点は同じ街にある。アメリカ国内に工場を持っていて、メイドインUSAであり続けているのも「レッドウィング」のこだわりだ。1912年に発売した「ブラウンチーフ」というワークブーツで全米に名を広めた後、1950年に誰もが一度は耳にしたことがある「アイリッシュセッター」が生まれる。発売されたのは、8インチ丈のハンティングブーツ「#854」で、レザーの色味が猟犬のアイリッシュセッターの毛の色に似ていたことから、そう呼ばれるようになった。つまり形ではではなく、レザーの色味が「#854」と近いものが「アイリッシュセッター」と呼ばれているというわけ(現在は日本未輸入のハンティング&アウトドア部門のブランド名となっているので少しややこしいのだが)。1952年には「#854」をアップデートさせた「#877」が大ヒット。その数年後にリリースされたのが、今回推している6インチ丈の「#875」だ。
履きこむほどに
自分だけの1足に育つ
6インチ クラシックモックの「#875」がこちら。アッパーとのコントラストがキャッチーなトラクショントレッドソールは「レッドウィング」のオリジナルソール。発泡ラバー素材で厚く、クッション性を備えながら、軽量でグリップ力が強いのが特長。また、底面がフラットで土踏まず部分の空間ができないため、悪路でも歩きやすいというのも気が利いている。1950年代に発売されてから1990年代まで、アッパーにはオロラセットというブラウンのオイルドレザーが使われていたが、その後、何度か色のトーンを変更し、2014年に発売当初に近い、オイルを豊富に含んだブラウンレザーに戻すことに。それが現在使われているオロ・レガシー・レザーで、いわゆる「アイリッシュセッター」らしい趣に仕上がっている。表面がなめらかなレザーを厳選し、なめした後に染め上げ、表面には一切塗装をしないため、自然な表情を持つアッパーとなり、履き込むほどに味わい深く育っていくのだ。
レッドウィングのブーツ4万5870円(レッドウィング・ジャパン)
ラフアウトレザーを使って
ナチュラルな雰囲気に
こちらは6インチ クラシックモック「#8833」。1989年に日本企画として発売された「#8173」をベースに、パイピングやステッチ、シューレースなどを茶系にそろえ、全体をワントーンにまとめた1足だ。「#875」のアッパーを、当時のアメリカでペコス・ブーツなどのウエスタン系ブーツやアウトドアブーツによく使われていたベージュのラフアウトレザーに変更したモデルで、オイルを加えずともしなやかさをキープするレザー、ホーソーン・アビリーンを採用。スエードほどきっちり毛足を整えていないため、ほどよいラフさを残しながらも、色味や起毛感による品のよさが漂う、絶妙な質感が魅力となっている。アメカジスタイルをちょっとキレイめに仕上げたい、なんてときに重宝するはずだ。
レッドウィングのブーツ4万5870円(レッドウィング・ジャパン)
90年代ストリートを彷彿させる
黒アッパー&白ソール!
このカラーモデルを見て、ひと目で藤原ヒロシを連想する人は、きっと90年代通だろう。当時からファッションアイコンだった彼が履く、黒アッパーに白ソールをカスタムした「レッドウィング」が東京のストリートシーンで注目を浴び、製品化されたのが「#8179」。ブラック・クローム・レザーを使ったその「#8179」に対して、こちらは茶芯レザーであるブラック・プレーリーが採用された「#8849」だ。塗膜が薄く、革の肌目を生かしたしなやかな仕上がりのレザーは、履いていくと比較的早い段階で塗膜の下のブラウン芯地が見え始める。つまり履いて間もない時期から経年変化が楽しめる1足となっているのだ。
レッドウィングのブーツ4万5870円(レッドウィング・ジャパン)
「レッドウィング」の6インチ クラシックモックは、歴史深いだけに、語りどころが多いのも面白いところ。長年愛され続けているタイムレスなデザインだけに、これからもスタンダードなブーツとして履いていけることに疑う余地もなし。一生モノとして付き合うのにふさわしい名品と言えそうだ。
レッドウィング・ジャパン
☎︎03-5791-3280
文/池上隆太 撮影/松尾 修(STUH)