2019.12.30
ビジネスマナーの教科書 vol.14社外文書の基本
「社外文書」は連絡手段としてだけでなく、記録・保存にも用いられる。つまり、「正確性」を重視して作成することが必要なのだ。そのためにミスなく正確な内容を書くことを意識していこう!
社外文書は「相手に伝える」ことを重視!
社外文書は大きく分けて2種類の形式が存在する。用途に応じた使い分けができるように、まずはその違いを学んでいこう。
社外文書にも種類があるんですか?
見積書や請求書といった事務的なやり取りに使う「連絡文書」、挨拶状や案内状といった「社交文書」の2種類がある。 用途に応じて文書の使い分けができると、相手にとって親切な心遣いになる。
社外文書の一般的な書き方(社交文書)
a.文書番号
文書を管理するために、それぞれの会社のルールに基づいた文書番号を付ける。管理する時に検索もしやすくなる。
b.発信日時
実際に文書を発信する日。いつ発信したか明確にすることで、トラブル防止にもつながるので記載しておくと◎
c.宛名
社名、部署名、役職名、氏名、敬称の順に記入。発信者名より下に来ないようにし、相手の会社名は正式名称で。
d.発信者名
社名と部署名、氏名を記入。必要に応じて住所や電話番号などの連絡先や押印を入れる場合もある。
e.前文
冒頭の挨拶。「拝啓」などの頭語ではじめ、1字分空け「時候の挨拶」や日頃の感謝、お祝いの言葉などを続ける。
f.主文・末文
本題に入ることを示す起こし言葉の後に、用件を。末文は結びの挨拶で文章を締め、「敬具」などの結語で結ぶ。
リスク回避のために気を配れ!
社外文章は、外部とのコミュニケーションに使われるものだ。だから、ほんの少しのミスでも大きなトラブルにつながる可能性があるのだ。例えば、打ち合わせスペースを借りる申請をした時に日時が間違っていたとする。そうすることで、打ち合わせスペースを使えないことはもちろん、打ち合わせのためにスケジュールを調整した社内外の人など、その日の打ち合わせに向けて準備していた方々に迷惑が掛かってしまうのだ。部品などの発注数、請求書の金額ミスなど、数字が一桁違うだけで大事になるケースは君が思うよりも多々あるもの。そうならないためにも送る前のチェックは徹底しよう。先輩にダブルチェックをお願いするのも一つの手だ。
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まだまだある! その他の社外文書
ここで更に細分化した文書の一例をご紹介。それぞれの違いや特徴を確認していこう。これを使い分けできるようになれると◎
社外文書・案内状
相手のメリットを強調する、読み手が興味を引くような工夫を凝らした文章を心がけよう。
案内状で大切なのは、相手に伝えたい情報がわかりやすく、正確に書いてあること。そのためには日時や場所は別記として箇条書きにしたり、特典がある場合は必ず記載しよう。それと、地図やアクセスは別紙で詳しく! 相手を気遣うひと言を添えておくのも大切だ!
社外文書・お礼状
お礼状は連絡のタイミングが重要で、贈り物をいただいたらすぐにお礼の連絡を。
とても硬い文章だが、これで相手に感謝の気持ちは伝わるのだろうかと思うかもしれないが、社外文書を出しているのは、一般的に代表者や部署のトップ。担当者に対してお礼を伝えるなら、丁寧すぎるくらいの書面作りを意識することが大切だ!
社外文書・依頼状
依頼する目的などを丁寧に書き出し、依頼相手に快く引き受けてもらえるような文書を作成しよう。依頼内容・目的を明確にして、件名も具体的に箇条書きでわかりやすく記載しよう。「お手数おかけしますが~」などの「クッション言葉」を必ず入れるようにするのがポイントだ!
社外文書・回答返信
相手が知りたがっている情報をわかりやすく端的に伝え、結果や結論を最初に記載しよう。頭語は「拝復」とし、明確な照会日を記載しよう。結論を最初に記載して、即答できない場合でもその旨をしっかりと伝えよう。担当者を明記し、問い合わせ先を一本化するのが気配り上手への近道!
社外文書・お詫び状
自社の非に対して、相手を不快にさせ、迷惑をかけたことに対する謝罪の言葉から。言い訳がましくならないように、簡潔に事実を伝え、落ち度がある場合は原因を明らかにし、率直に謝意を示すことが重要。現状を判断したうえでいつまでに対処できるのか、具体的な対処法を伝えておくのが大事だ!
【check】
社内文書との違いを確認しよう
社外文章は社内だけでなく、社外の多くの人が目を通すという認識のもと作成されるもの。そのため社内文章とは異なる部分がいくつか存在する。
儀礼的な文章を徹底!
会社から正式に発信される文書のため、ビジネス文書の基本となる「正確さ」「わかりやすさ」をおさえ、礼儀を重んじる表現を用いて作成しよう。
見た目もスッキリと!
相手の時間を割いてまで目を通していただくことを考えると、誤字・脱字はもちろんのこと、句読点や改行を入れ、見やすい文書であることが大切だ。書面一枚で収まるのが理想的。
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ビジネスマナーの教科書
vol.1 挨拶&返事の基本、できてる?
vol.2 相手に伝わる話し方について
vol.3 話し方で周りからの評価をUP!
vol.4 言葉選びのマナー
vol.5 意見が対立した時の話し方
vol.6 「聞き上手」になるためには?
vol.7 身だしなみの基本
vol.8 スーツスタイルの基本
vol.9 ビジネスカジュアルの身だしなみ
vol.10 社会人1年生のカバンの中身
vol.11 ビジネス文書を極めよう
vol.12 頭語・結語・時候の挨拶と前文・末文の挨拶
vol.13 社内文書の基本
vol.15 封筒・ハガキの宛名書きについて
vol.16 招待状・案内状への返事の仕方
vol.17 電話応対の基本
vol.18 電話を受けるときの秘訣
vol,19 クレーム電話対策のススメ
vol.20 指示・報告・連絡・相談の基本
vol.21 「来客応対」の基本を知ろう
vol.22 「他者訪問」の基本を知ろう
vol.23 応接室、会議室の席へのご案内のマナー
vol.24 乗り物での席次のマナー
vol.25.お茶出しとお見送りのマナー
vol.26 飲み会・会食のマナー
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監修:西出ひろ子
マナーコンサルタント・美道家。ヒロコマナーグループ代表。ウイズ株式会社代表取締役会長。HIROKO ROSE株式会社代表取締役社長。一般社団法人マナー教育推進協会代表理事。これまで10万人以上に対してマナー研修やおもてなし講座などを開催するだけでなく、マナー評論家としてテレビ番組などのメディアへの出演も多数。これまで国内外で90冊以上の著書・書籍監修を手がけている。